私の経験でこれは~と思うのは、区画整理途上の従前地評価で、すでに工事が終わっている場所に標準宅地を置いているケースです。
これは、非常にまずいと思うのですが、結構よくあります。
工事が終わっているということは、すでに従後になっているということです。もう評価すべき現況がないわけです。
そのなかで従前地評価をするということは、例えば昔の住宅地図とか航空写真とか、あるいは鑑定士の記憶とかに頼って鑑定を行うことになります。
いろんな考え方があるかもしれませんが、わたしは鑑定評価基準に照らしてこれは不当鑑定に当たると思います。地域要因に関して現実的でない想定をしているからです。頭のなかで描き得ない状況を想定して、評価をするというのは、概念的にもちょっと無理ですよね。
そうは言っても必要だからやってくれ、と言われたことがあります。幹事の鑑定士に君ができないなら自分がやるからそれで了解してくれ、と言われたこともあります。
そういう問題でしょうか?それは違うと思います。
まず、自治体の方は、鑑定評価基準に照らしてなにが許されてなにが許されないか、ということが分からないわけです。また、無理な想定の基に評価をすれば、そのリスクは鑑定士だけではなく自治体にも及ぶわけです。とするなら、そういうリスクがあるんだよ、ということをまず、自治体にきちんと説明する必要があります。評価地点を交換したところで、自治体のリスクは変わらないのですから。
では、従前地評価はどうすれば良いのでしょうか?
一番いいのは、まだ工事が終わっていない地点に選定することです。
状類内にもうない、などと言わないでください。状況類似を広く設定します。あとは、路線価計算と個別の修正でなんとかなります。
無理な想定の鑑定をするより、ずっとましだと思います。