判例解説レポート(当社顧問弁護士:ひかり弁護士法人アイリス法律事務所作成)
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2カ月ごとに最新判例に関わる記事が追加されていく予定です。
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記事一覧
R7.7号(横浜地裁R6年1月20日)固定資産評価審査委員会の審査決定について、①手続上の違法があるか否か、②評価基準に従っているか否か、③評価基準の定める評価方法によることができない特別の事情があるか否かが争われた事例
横浜地裁令和6年1月20日判決(固定資産評価審査決定取消請求事件)
テーマ:固定資産評価審査委員会の審査決定について、①手続上の違法があるか否か、②評価基準に従っているか否か、③評価基準の定める評価方法によることができない特別の事情があるか否かが争われた事例
1.事案の概要
(1)本件の原告らは、神奈川県Y市内に10筆の土地(以下「本件各土地」という)を所有(共有)しており、Y市長による本件各土地の平成30年度の固定資産課税台帳に登録した価格(合計1億3332万2000円)に不服があり、Y市固定資産評価審査委員会に審査申出したところ、同委員会から本件各土地の価格を合計9879万1739円に変更する旨の決定(本件審査決定)がありました。
これに対し、原告らは、本件審査決定に不服があり、主位的に審査決定の全部取消し、予備的に本件審査決定のうち合計2394万6783円を超える部分の取消しなどを求めて訴えを提起したというのが本件事案です。
R7.5号(東京高裁R5年10月18日)都市公園内に設置された建物等の固定資産税の免除決定の取消し等が認められた事例
東京高裁令和5年10月18日判決(差止等(住民訴訟)請求事件)
テーマ:都市公園内に設置された建物等の固定資産税の免除決定の取消し等が認められた事例
1 事案の概要
(1)本件は、栃木市(A市)がB社に対し、A市の都市公園の敷地内に公園施設を設置することを許可するにあたり、B社が都市公園内に設置したサッカー専用スタジアムを構成する建物(以下「本件建物」)に課される固定資産税を免除するとともに、都市公園の使用料を免除したところ、A市の住民らが本件建物の固定資産税の免除及び都市公園の使用料の免除はA市税条例等に違反する違法な行為であるとして住民監査請求を行ったが、理由がないとされたため、裁判所に本件建物の固定資産税の免除の差止め及びB社に対し都市公園の使用料を請求しないことの違法確認を求めた住民訴訟を提起したという事案です。
R7.3号(東京高裁R4年4月27日)太陽光発電施設用地の評価にあたり造成費相当額を加算しなかったことが違法と判断された事例
長野地裁令和3年10月29日判決(違法確認請求事件)
東京高裁令和4年4月27日判決(同控訴事件)
テーマ:太陽光発電施設用地の評価にあたり造成費相当額を加算しなかったことが違法と判断された事例
1 事案の概要
本件は、長野県松川町の住民が、太陽光発電施設用地として使用されている土地に関し、固定資産税の登録価格が不当に低廉であり、固定資産税の賦課徴収を違法に怠っていると主張して、同町の町長の「怠る事実」の違法確認を求めた住民訴訟です。
本件で、住民が違法確認を求めた対象は、平成24年度から平成30年度まで複数の年度に亘っており、固定資産税の賦課徴収を怠っていると主張した対象の土地も、本件土地1から本件土地4まで複数あり、非常に複雑な事案です。
結論として、第一審の長野地裁は住民の請求を一部認容し、
R7.1号(徳島地裁R6年7月17日)私道補正率0.3の一般的合理性とこれによって時価を適切に算定することができない特別の事情について判断された事例
徳島地裁令和6年7月17日判決(固定資産税賦課処分取消等請求事件)
テーマ:私道補正率0.3の一般的合理性とこれによって時価を適切に算定することができない特別の事情について判断された事例。
1 事案の概要
(1)原告が所有する本件各土地は、分譲地のために開設された通路であり、いわゆる①コの字型私道(その起点及び終点はいずれも市道に接道しており、他に接道する市道等はない私道)、②行き止まり私道である。
(2)原告は本件各土地について①公共の用に供する道路(地方税法348条2項5号)に該当する、②私道補正率0.3に一般的合理性がない、③本件では私法補正率0.3によっては時価を適切に評価できない特別な事情があるとして審査申出をしたが棄却されたため、その取り消しを求めて本訴を提起した。
R6.11号(最高裁S47年1月25日)登記名義に基づいて賦課された固定資産税を支払った者は、不動産の真の所有者に不当利得返還請求できるか
最高裁昭和47年1月25日判決(立替金請求事件)
テーマ:登記名義に基づいて賦課された固定資産税を支払った者は、不動産の真の所有者に不当利得返還請求できるか。
今回は、古い最高裁判例ですが、奥深い判例です。固定資産税の課税についてより深く考える趣旨で検討してゆきましょう。
1 事案の概要(相続等の事実経過を一部簡略化した)。
本件不動産は、もともとYの所有であった。
ところが、Yが知らない間に、登記名義が転々移転しXの登記名義となった。そこで、Yは、本件不動産が自己の所有であることを理由としてXの登記を抹消する訴訟(登記抹消手続請求訴訟。以下「別訴」という。)を提起した。その結果、Yは勝訴しXは敗訴した。