3年間の評価替えの中で、標準宅地の鑑定は2年度目にやるんですが、それをやる前に当然、選定が必要になります。
3年前と一緒でいいや、という自治体もあるでしょう。まあ、開発などがない部分についてはそれも良いでしょう。
ただし3年前が適正に選定されていればの話です。
標準宅地をどのように選定すべきか、ということについてはものすごく誤解が多いと思います。いま、固定資産評価基準解説を見ているのですが、そもそもこれからして間違っていると(私は)思います。
これによれば、画地計算の補正を要しない土地を目標として選定すべきと書かれています。
なんで???
まあ極端に大規模地などをわざわざ選定する自治体はないでしょうから、ここでの画地補正を要しない土地というのは、整形地とかのことでしょう。実際そのような例示があります。
しかし、業界関係者は誰でも知っていることですが、標準宅地の評価はあくまで標準画地に対して行われるもので、これは想定上の画地ですから整形地に決まっているわけです。(細かいとこ違います、あしからず)
では、対象地そのものに整形地を選ぶ理由はなんでしょうか?
唯一考えられるのは、鑑定上の個性率と画地補正の補正率が相違するのが良くない、とかです。
うーん、そうかもですが、優先順位としては低いんですね。
実際に鑑定評価をやって、その後、路線価調整を手伝ったりしているともっと重要な要件いっぱいあるよ、と言いたくなります。
まず、その1。
幅員4m未満の道路に置かない。
これ重要です。
なぜか?
鑑定やってみると良く分かるんですね。まあ一律に4mではないですが、道路狭小地というのはどうしても相場的には安くなります。これは当然なんですが、じゃあどれくらい安くなるのかというのがなかなか把握しにくいんですね。というか、正解はないです。たまたま高く買ってくれる人が現れるかどうかで決まってしまいますから。
例えば、周辺の6m道路くらいの土地の相場が100,000円/㎡くらいとして、3m道路沿いはいくらになるでしょうか?
3mっていうと車1台、入っていけるかどうか、大型車だと無理かもです。当然すれ違いなんかできません。かなり田舎でも相場は下がりますよね。
でも、じゃあいくら?っていわれると難しい。なんとなく80,000円/㎡くらいですかね。まだ高いかもです。70,000円/㎡くらいですかね。
で、こういう土地を鑑定するのってどうなんでしょうか?
私が思うことは、わざわざ精度が下がらざるを得ない土地を鑑定するのって、もったいない、ということです。周辺の相場が安定していて把握しやすい6m沿いを選ぶべきです。そのほうが評価の精度が上がるんですから。同じ報酬払うんだったら鑑定士にいい仕事してもらいましょうよ。
もちろん、3mの道路沿いも路線価は決めなければなりません。しかし、そこは鑑定ではなく比準表に委ねたほうがいいです。その比準表が正しいかどうか、それは話が別です。まあ、そこの格差について絶対的な正解はないです。
しかし、比準表に委ねれば、少なくとも全市公平な減価はできます。画一的な評点付けができます。
広域的に均質な路線価、なめらかな価格変動を実現するには比準表がベターなんですね。
言い方を変えると、これは鑑定の苦手な分野なんです。
まあ、状況類似内に4m以上の道路があんまりないよ、っていうこともあるでしょう。でも、少しでもあるならそこで選んだほうが、結果路線価のバランス取れると思います。
次回以降、標準宅地の選定基準について、もう少し突っ込んでいきます。