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私的固定資産評価概論

用途地区区分について

固定資産土地評価を考える上で、「用途」というのは、とても深遠な問題を内包しています。

まず、一般論として土地の評価では、地域的な用途判定はかなり重要であるとされています。不動産の鑑定評価では「最有効使用の原則」というのが一応正しいとされているので、まず、地域の最有効使用を判断して、その前提に立って評価の手順を進めていくことになります。

例えば、住宅としての使用が合理的な地域、と判断すれば取引事例も住宅地のものを採用し、収益性もアパートを想定するとかします。

不動産鑑定を生業としていると、これはもう習慣というか条件反射になっていまして、評価を行うに当たってまず最有効の用途を判定して、それから次のステップに進んでいく、ということになります。

一方、固定資産評価の世界では、直接的には用途地区区分は画地計算での補正率表の適用が変わってくるということがあります。

しかし、それ以前にそもそも路線価を算出する段階で、用途判定というのは非常に価格判定に影響を与える。。。というふうに不動産鑑定士は考えます。まず間違いなく。これはもう「鑑定評価基準」を勉強している段階で深層心理に深く刻まれてしまうようなことです。

しかし、わたしの経験では、市町村の職員の方も含めて、一般の人は土地評価に用途判定がそんなに関係あるのかな、と考えます。例えば、住宅と店舗が混在している、それなら混在地域で良いのではと。

不動産鑑定士はそのようには考えません。どちらの使用がより合理的か、需要者がより高い価格を提示し得るかと考えます。そして結果、住宅と決めたらもう住宅まっしぐらです。

個人的に思っているのですが、「最有効使用の原則」というのは、まあ一応正しいような気がします。鑑定評価基準を絶対視するつもりは全くないのですが、この部分は認めても良いかなと思います。
ですから、固定資産評価の用途判定においても、最有効使用に基づいた判定を行うように、コンサルの局面ではお勧めしています。標準宅地の鑑定を最有効使用でやっている以上はこれを貫徹しないと、いろいろ論理矛盾が生じるからです。

正常価格という言葉があります。固定資産評価は地価公示価格の7割が原則、つまり正常価格の7割が原則です。
普通の人があまり知らないのは、この正常価格というのは最有効使用に基づく価格だということです。
正常価格に基づく価格判定を行うためには、用途判定は最有効使用に基づくしかないということです。

さて、ところで固定資産評価の用途判定においては「現況主義」というのがいまでも残っています。最有効使用ではなく、現況での使用状況に基づいて用途判定を行うという意味です。これは固定資産評価に標準宅地の鑑定評価が導入される前から残っている制度で、鑑定の考え方とは完全に論理矛盾しています。
ただ、市町村の職員の方が用途判定する際には分りやすい基準が欲しいということで、いまだに採用されている一面もあります。

まったく余談なのですが、以前、業界人なら誰でも知ってる大手の鑑定業者のシステム評価部長にここのところを説明したら、「現況主義じゃないのは現地調査しないという意味だろう、許せん」と言われてしまいました。某市町村の税務課の人を交えての会議でのことです。
縷々説明しましたが、理解しませんでした。この人は不動産鑑定士の資格がありませんでした。

このレベルの人がコンサルをしていて、いいのだろうかと思いますが、経験の浅い市町村の職員の方はもっと分らないので、籠絡されてしまうこともあるでしょう。

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