固定資産税定期レポート2019.6号
平成30年(行ヒ)第262号平成31年4月9日第三小法廷判決
(固定資産評価審査決定取消請求事件)
テーマ:当該土地が商業施設に係る開発行為に伴い調整池の用に供されその調整機能を保持することが開発行為の許可条件になっていることを理由に地目を宅地と認定した高裁判決が取り消された事例
第1 事案の概要
上告人が所有する三重県志摩市内の各土地(本件各土地)は、同市内にある商業施設(本件商業施設)の東側にあって、本件商業施設の調整池の用に供されており、「排水調整の必要がなくなるまでその機能を保持すること」が本件商業施設に係る開発行為の許可条件とされていた。
志摩市長が、本件各土地の地目を宅地と認定して、土地課税台帳に登録する価格の決定をしたところ、上告人がこの決定について、志摩市固定資産評価審査委員会に対し、「本件各土地の現況及び利用目的に照らせば、その地目は池沼と認定されるべきである」と主張して本件土地不服審査の申出をしたが、これを棄却する旨の決定(本件各決定)がされた。
そこで、本件各土地所有者がこの棄却決定の取消しを求めた。本判決は、二審(名古屋高裁平成30年3月23日)が上告人の控訴を棄却したため、上告人が上訴したのに対して最高裁が下した判決である。
(上告人らの主張)
固定資産評価基準は、土地の地目の認定に当たっては、当該土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的に僅少の差異の存するときであっても、土地全体としての状況を観察して認定するものとしている。
本家土地の現況及び利用目的に照らせば、本件各土地の地目は池沼と認定されるべきである。