固定資産税レポートH28.12号
札幌高等裁判所平成28年9月20日(裁決取消等請求事件)
テーマ:区分所有建物に専有部分を有する者の固定資産税額の算定方法
(H28.6号素材判例の高裁判決)
第1 事案の概要
1 Xは、33(住居部分32、事務所部分1)の専有部分から構成された
建物(以下、「本件建物」という。)のうち、事務所部分(以下、「本件事務
所部分」という。)を所有している。
2 Y市長は、平成24年度における本件建物の価格について、合計1億3
567万9000円(住居部分1億0302万1600円、事務所部分3
265万7400円)と決定し、固定資産税課税台帳に登録した(以下、「本
件登録価格」という。)。
3 なお、本件登録価格は、本件建物が、住居部分と本件事務所部分を併用
する区分所有建物であることから、本件建物一棟全体に単一の経年減点補
正率を適用するのではなく、部分ごとに異なる経年減点補正率(住居部分
0.809617、事務所部分0.19038)を適用して、その結果算
出された価格を合計することにより算定されたものである(以下、「本件Y
課税方法」という。)。
4 Xは、平成24年4月16日、本件Y課税方法は地方税法(以下、「法」
という。)352条1項に反することから、本件登録価格の決定に不服があ
るとして、固定資産評価審査委員会に対し、法432条1項に基づく審査
の申出を行った。しかし、同委員会は、同年12月6日、上記申出を棄却
する決定(以下、「本件棄却決定」という。)をした。
5 Xは、本件棄却決定を受け、平成25年4月19日、Yに同決定の取消
訴訟等を提起した。第1審はXが勝訴したが、Y控訴。