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判例解説レポート(当社顧問弁護士:ひかり弁護士法人アイリス法律事務所作成)

H30.6号(京都地裁H28年3月11日)航空写真システムによる地目判定の誤りと国賠上の責任

固定資産税定期レポートH30.6号
京都地裁平成28年3月11日判決(国家賠償請求事件)
【審級】大阪高裁平成28年9月9日判決:控訴棄却
最高裁平成29年5月30日決定:上告受理申立て不受理

テーマ:航空写真システムによる地目判定の誤りと国賠上の責任

第1 事案の概要
1 被告Y 市は、平成11年に課税客体を把握する方法として航空写真シス
テムを採用し、以降、航空写真上の状況と課税状況が異なる場合、写真だけ
で明らかに認定できれば写真だけで認定し、写真だけで認定が困難であれば
実地調査を行い、課税が適正でないと判断すれば見直しを行ってきた。
※「航空写真システム」
3年に1回航空写真を撮影し、公図または地積測量図に基づき地番レイ
ヤ(航空写真に重ねるための公図)を作成し、それを航空写真にあてはめ、
その間に土地の分合筆等の異動があればこれに伴う修正を随時行いなが
ら課税客体を把握する方法
2 Y 市は、A が所有していた土地1(登記上の地目は山林)について、上記
航空写真システムにより、B 宅の底地部分と認定し、平成12年度から課
税地目をそれまでの「山林」から「宅地」に変更した。
3 また、Y 市は、A が所有していた土地2(登記上の地目は宅地)について
も、上記航空写真システムにより、土地2上に建物が存在しない現況を確認
したことから、平成12年度から課税税目をそれまでの「住宅用地」から
「非住宅用地(更地)」に変更した。
4 A は平成25年9月に死亡し、土地1及び2を原告X が相続した。
X は、
・土地1は以前から現況が山林であり課税地目に誤りがあること、
・土地2は以前から現況が田であり課税税目に誤りがあること、
に気づき、平成25年11月、Y 市税務収納課に対しその旨を申し出た。
5 Y 市は、土地1について、現地での聴取調査及び関係者との協議を経て
課税地目の誤りを認め、平成26年度から課税地目を「山林」に変更すると
ともに、平成21年度から平成25年度までの課税につき更正決定を行い5
年分の差額をX に還付した。
6 また、Y 市は、土地2についても、現地調査の結果、現況が休耕田である
限度でX の申し出を認め、平成26年度から課税地目を「田」に変更した。
7 X はY 市に対し、土地1は「山林」、土地2は「田」として課税すべきと
ころをY 市の誤りにより過大に固定資産税を徴収されたとして、過納付金
相当額の損害について国家賠償請求訴訟を提起した。
8 第一審は、土地1について、Y 市の課税地目変更が誤りであった(「山林」
として課税すべき)としたうえで国賠法上の違法性も認定してX の請求を
認め、土地2については国賠法上の違法性を否定してX の請求を棄却した。
Y 市が上訴したが、控訴審・最高裁とも第一審判決の判断を維持した。

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