ヴァリューテックコンサルティング株式会社

不動産鑑定、固定資産税のご相談はヴァリューテックコンサルティング(株)へ

お問い合わせ052-243-0215

判例解説レポート(当社顧問弁護士:ひかり弁護士法人アイリス法律事務所作成)

こちらは会員専用記事です。 2カ月ごとに最新判例に関わる記事が追加されていく予定です。
以下、レポートのはじめの部分が表示されていますが、会員になると全文PDFをお読みいただけます。
会員申込

レポート内の記事検索

記事一覧

R1.6号(最高裁H31年4月9日)開発行為に伴い調整池の用に供されその調整機能を保持することが開発行為の許可条件になっていることを理由に地目を宅地と認定した高裁判決が取り消された事例

固定資産税定期レポート2019.6号
平成30年(行ヒ)第262号平成31年4月9日第三小法廷判決
(固定資産評価審査決定取消請求事件)

テーマ:当該土地が商業施設に係る開発行為に伴い調整池の用に供されその調整機能を保持することが開発行為の許可条件になっていることを理由に地目を宅地と認定した高裁判決が取り消された事例

第1 事案の概要
上告人が所有する三重県志摩市内の各土地(本件各土地)は、同市内にある商業施設(本件商業施設)の東側にあって、本件商業施設の調整池の用に供されており、「排水調整の必要がなくなるまでその機能を保持すること」が本件商業施設に係る開発行為の許可条件とされていた。
志摩市長が、本件各土地の地目を宅地と認定して、土地課税台帳に登録する価格の決定をしたところ、上告人がこの決定について、志摩市固定資産評価審査委員会に対し、「本件各土地の現況及び利用目的に照らせば、その地目は池沼と認定されるべきである」と主張して本件土地不服審査の申出をしたが、これを棄却する旨の決定(本件各決定)がされた。
そこで、本件各土地所有者がこの棄却決定の取消しを求めた。本判決は、二審(名古屋高裁平成30年3月23日)が上告人の控訴を棄却したため、上告人が上訴したのに対して最高裁が下した判決である。
(上告人らの主張)
固定資産評価基準は、土地の地目の認定に当たっては、当該土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的に僅少の差異の存するときであっても、土地全体としての状況を観察して認定するものとしている。
本家土地の現況及び利用目的に照らせば、本件各土地の地目は池沼と認定されるべきである。
続きを読む…

H31.4号(福岡高裁H30年2月28日)ゴルフ場用地への①地方税法附則18条4項又は5項あるいは、②同条1項による負担調整措置の適用の要否

固定資産税定期レポート2019.4号
福岡高裁宮崎支部平成30年2月28日判決(判例地方自治437号34頁)
(固定資産税課税処分取消請求控訴事件)

テーマ:ゴルフ場用地への
① 地方税法附則18条4項又は5項あるいは
② 同条1項による負担調整措置の適用の要否。

第1 事案の概要
宮崎市内にゴルフ場用地を所有する控訴人ら(9名)が、控訴人らに対して
宮崎市長が為した平成27年度分固定資産税の各賦課決定処分に下記の違法
があると主張し、その一部取消しを求めた。本判決は、一審(宮崎地裁平成2
9年6月30日判例地方自治437号43頁)が請求を棄却したため、控訴人
らが控訴したのに対して下されたものである。
(控訴人らの主張)
1 原告ら所有のゴルフ場用地(以下、「本件土地」という。)は、地方税法(以
下、「法」という。)附則17条4号の「商業地等」に該当するから、法附則
18条4項又は5項の負担調整措置の適用がされるべきところ、宮崎市長は
これを行わずに平成27年度分の固定資産税額を算出した点に違法がある。
2 仮に法附則18条4項又は5項が適用されないとしても、本件土地には、
同条1項の負担調整措置の適用がされるべきところ、宮崎市長はこれを行わ
ずに上記固定資産税額を算出したという違法がある。
続きを読む…

H31.3号(名古屋地裁H30年3月1日)①併用住宅地区を前提とした登録価格を普通商業地区に存することを理由に修正した場合の地方税法417条1項の「重大な錯誤」の有無

固定資産税定期レポート2019.3号
名古屋地裁平成30年3月1日判決(最高裁判所ホームページ)
(固定資産評価審査決定取消等請求事件)

テーマ:①併用住宅地区を前提とした登録価格を普通商業地区に存することを
理由に修正した場合の地方税法417条1項の「重大な錯誤」の有無、②地方税
法433条5項は照会事項に関する回答を求める公法上の請求権を認めたもの
と言えるか。

第1 事案の概要
本件は、原告が下記2点を求めて提訴した事案である。
1 下記のとおり主張して、A市固定資産評価審査委員会の決定の取消しを
求めた。
(取消しを求めた理由の表示)
① 本件土地が併用住宅地区に所在することを前提として定められた固
定資産課税台帳登録価格に誤りはないにもかかわらず、「本件土地が普
通商業地区に所在しているため補正率の計算に誤りがあり地方税法4
17条1項にいう重大な錯誤が認められる」との理由で上記登録価格
の修正がされたことは違法である。
② その修正に関する審査申出を棄却したA 市固定資産評価審査委員会
の決定は違法である。
2 地方税法433条5項に基づき、A 市長に対し、A 市長において本件対象
事項に関する照会に対する書面による回答を行うことを求めた。
続きを読む…

H31.2号(東京地裁H29年3月27日)条例で義務付けられた住宅用地の申告を怠った者に対し住宅用地の特例の適用をせずに課税した場合の納付額返金を求めることの可否

固定資産税定期レポート2019.2号
東京地裁平成29年3月27日判決(判例タイムズ1452号214頁)
(国家賠償(過誤納金)請求事件)

テーマ:条例で義務付けられた住宅用地の申告を怠った者に対し住宅用地の特
例(地方税法349条の3の2・同法702条の3)の適用をせずに課税
した場合の納付額返金を求めることの可否

第1 事案の概要
1 株式会社Xは、平成11年3月、東京都大田区内の3階建て建物(本件建
物)及びその敷地(本件土地)を購入し、平成14年中には本件建物の改築
工事を行って老人ホームを開設した(本件用途変更。なお、介護保険事業者
の指定を受けたのは平成16年4月)。
2 Xは、住宅用地の申告(東京都都税条例及び同施行規則において、住宅用
地の所有者に対して義務づけられている)等を平成24年に至るまで怠っ
ていた。
3 そのためY(東京都)は、平成15年度以降平成24年度まで、本件土地
について、国定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の
課税上、住宅用地について課税標準を、①固定資産税においては3分の1
(地方税法349条の3の2)、②都市計画税においては3分の2(同法7
02条の3)とする特例(以下「住宅用地の特例」という。)を適用せずに
算出された課税額を決定し、Xは同額を納付した。
4 本件建物についても、家屋の損耗の状況による減点の度合いの算出に当
たって、用途が「住宅」であることに基づく数値を用いずに算出していた。
5 平成24年10月に至り、Xが都税事務所長に対し、家屋異動届書を提出
したことを契機に、Y担当職員は実地調査を行って本件建物が住宅用地の
特例の適用を受ける併用住宅であることを把握し、平成24年11月、平成
20年度から平成24年度分の評価額を同特例適用後の額に変更する減額
賦課決定を行い、過納付分を還付した。
6 その後Xは、還付を受けられなかった平成15年分から平成19年分の
過納付額を損害額として本件訴訟を提起した。
続きを読む…

H30.10号(東京地裁H29年9月14日)建築基準法57条の2(特定容積率の限度)に基づく減価の要否

固定資産税定期レポートH30.10号
東京地裁平成29年9月14日判決(固定資産評価審査決定取消請求事件)

テーマ:建築基準法57条の2(特定容積率の限度)に基づく減価の要否

第1 事案の概要
1 Xは、東京都千代田区所在の6筆の土地(以下「本件各土地」という。)
を所有してホテルを営業している。本件各土地の固定資産の各価格の決定
(以下「本件価格決定」という。)を受けたXは、その登録価格を不服とし
て、審査の申し出を為し申出棄却決定を受けたため、当該決定の取り消しを
求めて提訴した。
2 Xの不服の理由は、要旨、「本件各登録価格は、建築基準法(平成26年
法律第39号による改正前のもの。以下同じ。)57条の2の規定に基づく
特例容積率の限度の指定(以下、「本件容積率限度指定」という。)を減価要
因として考慮していないために固定資産評価基準(以下「評価基準」という。)
によって決定された価格とはいえない」というものである。
3 なお、「本件容積率限度指定」とは、以下のような経緯によって指定され
たものである。
すなわち、「第一種中高層住居専用地域等一定の地域」内の「適正な配置
及び規模の公共施設を備えた土地の区域」において、建築基準法52条1項
から9項までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となって
いる建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区」
を「特例容積率適用地区」(都市計画法9条15項。ただし、平成16年の
法改正前は特例容積率適用区域)というものであるところ、東京都知事は平
成14年5月29日本件各土地(本来の容積率(建築基準法52条)は10
分の130)を含む地区を「特例容積率適用地区」に指定した。そして東京
都知事は、平成20年12月8日、建築基準法57条の2第3項に基づき、
①本件各土地の特例容積率の限度を10分の114.02に、②本件各土地
に隣接する土地等の特例容積率の限度を10分の150.76に、それぞれ
指定した(本件容積率限度指定)。
4 東京都知事は、平成24年3月30日付けで、平成24年度の本件各土地
の固定資産の各価格の決定(本件価格決定)にあたって、本件容積率限度指
定を減価要因としなかったため、Xは、この点を不服としている。
続きを読む…

ヴァリューテックコンサルティング株式会社
〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須四丁目1-18 セイジョウビル6F
TEL:052-243-0215
FAX:052-243-0216
公益社団法人 日本不動産鑑定士協会連合会会員