判例解説レポート(当社顧問弁護士:ひかり弁護士法人アイリス法律事務所作成)
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R5.11号(最高裁H21年6月5日)固定資産評価基準及び市の評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法によって決定された市街化区域内の農地等の価格につき、当該区域が市街化区域としての実態を有していないことのみを理由として上記価格が適正な時価を上回るとした原審の判断に違法があるとされた事例
最高裁 平成21年6月5日判決(固定資産評価審査申出に対する決定取消請求事件固定資産課税審査却下決定取消請求事件)
テーマ:固定資産評価基準及び市の評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法によって決定された市街化区域内の農地等の価格につき、当該区域が市街化区域としての実態を有していないことのみを理由として上記価格が適正な時価を上回るとした原審の判断に違法があるとされた事例
1 はじめに
今回は、先回(本レポート2023.9号)の最高裁平成15年6月26日判決と同様に、平成25年7月12日判決を導く重要な判例である平成21年6月5日判例を検討しましょう。
2 事案の概要
R5.9号(最高裁H15年6月26日)固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回る場合における上記価格の決定の適否
最高裁 平成15年6月26日判決(固定資産課税審査却下決定取消請求事件)
テーマ:固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回る場合における上記価格の決定の適否
1 はじめに
今回は、若干古い最高裁判例ですが、現在の最高裁判例の基礎となっている重要なこの判決について、改めて整理する趣旨で取り上げてみましょう。
2 事案の概要
(1)本件は、東京都千代田区所在の土地(「本件土地」という。)の固定資産税の納税義務者Xが、土地課税台帳の平成6年度の価格につき審査申出したところ、東京都固定資産評価審査委員会から、これを約11億円する決定(以下「本件決定」という。)を受けたため、本件決定のうち本件土地1について1億3700万円余を超える部分の取消しを求めた事案である。
R5.7号(仙台高裁R4年5月26日)取消訴訟が確定した場合の、再度の審査決定についての取消訴訟における取消の範囲
仙台高裁 令和4年5月26日判決(審査決定取消請求控訴事件)
テーマ:取消訴訟が確定した場合の、再度の審査決定についての取消訴訟における取消の範囲。
1 事案の概要
(1)建物の納税義務者が、課税台帳に登録された価格を不服として、固定資産評価審査委員会で棄却されため、地方裁判所に取消訴訟を提起し、同訴訟において、同決定を取り消す旨の判決がされ、確定した。
(2)その後同委員会が再度審査の決定をした。しかし、納税義務者が価格を不服として、同決定の一部取消しを求めた。
(3)原審(福島地裁)は、①本件決定は、前訴控訴審判決の趣旨に従い、改めて審査の決定を行っていないことは明らかであるうえ、②本件決定における本件家屋の価格が
R5.5号(東京地裁H28年4月26日)市町村が自ら所有する不動産について、台帳課税主義に基づき、真の所有者ではない者に対して固定資産税等を賦課することの可否
東京地裁 平成28年 4月26日 裁判所ウエブサイト
(不当利得返還請求事件)
テーマ:市町村が自ら所有する不動産について、台帳課税主義(地方税法343条2項及び702条2項)に基づき、真の所有者ではない者に対して固定資産税等を賦課することの可否
1 事案の概要
(1)本件土地の所有者であった者の相続人であったXらは、その相続登記を行ったため、東京都渋谷都税事務所長から固定資産税等の賦課決定を受けたため、これを納付した。
(2)しかし、その後、本件土地の所有者はXらではなくY(東京都)であるとする判決が確定した。
(3)そこで、Xらが「本件土地については、台帳課税主義を規定した地方税法343条2項及び702条2項が適用されず、本件各賦課決定は無効である」として、
① Y(東京都)に対し、固定資産税等として納付した合計304万4400円につきその返還を求め、
R5.3号(東京地裁R3年9月21日)建物の管理人室が地方税法348条2項3号所定の「宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物」にあたるか否かが問題となった事例
東京地裁 令和3年9月21日 判例時報2539号19頁
(固定資産税都市計画税賦課処分取消請求事件)
テーマ:建物の管理人室が地方税法348条2項3号所定の「宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物」にあたるか否かが問題となった事例
1 事案の概要
A教の教義に基づき活動する宗教法人である原告が、東京都新宿都税事務所長が原告に対してした①本件建物3階の管理人室、②本件建物共用部分の一部及び③本件土地の一部の固定資産税及び都市計画税の賦課処分の取消しを求める事案である。
2 争点
本件課税部分が地方税法348条2項3号及び702条の2第2項の適用対象たる境内建物及び境内地(以下、併せて「境内建物等」ということがある。)に当たり非課税であるか否かが問題となった。